会長挨拶

日本経済会計学会
会長 薄井 彰(早稲田大学)

 2019年6月1日に日本経営分析学会と日本ディスクロージャー研究学会は、対等の精神のもとで統合しました。これまでの会員の皆様のご支援、ご理解、ご協力に深く感謝いたします。日本経営分析学会は、7月13日開催の第36回年次大会の会員総会にて、日本経済会計学会(The Accounting and Economic Association of Japan: AEAJ)に名称変更することを決議しました。日本経済会計学会は統合時にはその会員数が約650名に達し、会計学や経営学の分野では比較的大規模な学会となり、学会としての研究発信力の高まりが期待できます。互いの設立趣旨を尊重維持し、日本経済会計学会として、会計学、経営学、経済学及びその他関連の学問分野の研究、経営分析、ディスクロージャー及びその他関連領域の研究、それらの研究の普及と提言、並びに会員相互の交流をはかることを目的として、それぞれの学問分野とその複合領域のさらなる発展に向けて、精力的に学会活動をしてまいる所存です。

学会組織

 日本経済会計学会はその下に「領域別の学会」(ソサイエティ:Society)と地域別の支部を配置します。日本経営分析学会(The Japanese Society for Business Analysis:略称JSBA)と日本ディスクロージャー研究学会(The Japanese Association for Research in Disclosure:略称JARDIS)は領域別の学会として継続し、経営分析の研究・実務とディスクロージャーの研究・実務の領域にそれぞれ特化し、学会誌の発行やカンファレンス等の開催を行っていきます。支部の東日本部会と西日本部会は、地域に密着した研究会の企画開催や会員相互の交流を図ります。

カンファレンス等

 日本経済会計学会は、全国的な研究発表の場として、年次大会と秋季大会を開催します。年次大会は日本経済会計学会の理事会と本部・事務局が主催校と協働して企画運営します。秋季大会は、日本ディスククロージャ―研究学会と日本経営分析学会と主催校が協働して、各領域の特色に応じた企画運営をいたします。AEAJ Workshopは最先端の濃密な学術交流の場です。経営分析セミナーは、会員が最新の開示制度、情報分析技術及び各種理論を学ぶ場です。これらは東西の支部と主催校が中心となって企画運営されます。

学会誌

 日本経済会計学会は和文学会誌『現代ディスクロージャー研究』と英文学会誌Accounting Lettersを発行します。『現代ディスクロージャー研究』は、これまでと同様に、ディスクロージャー研究を軸に、会計学、経営学、経済学及びその関連領域のhigh qualityの論文を採録し、日本国内に情報を発信します。一方、Accounting Lettersは、1論文が4,000 words程度の電子レタージャーナルになります。速報性を重視し、会計学、経営学、経済学及びその他関連の学問分野の研究、並びに経営分析、ディスクロージャー及びその他関連領域の研究に関して、日本経済会計学会の国際情報発信を強化します。Accounting Lettersの長期目標は、当該領域において、top-tier journalとして国際的な学術的貢献の拠点となること、中期目標は、Impact factorが付与されること及びWeb of Scienceへの収録です。短期目標は日本からの大量かつ迅速な情報発信です。日本経済会計学会の編集体制が整い次第、海外からの投稿も受け付けることを予定しています。
 領域の学会誌として、日本経営分析学会と日本ディスクロージャー研究学会が共同して、『経営分析研究』を編纂発行します。日本ディスクロージャー研究学会が発行していた『年報 経営ディスクロージャー研究』は、当面の間、休刊します。  『日本経営分析学会会報』は『日本経済会計学会会報』にタイトルを改称し、会員のコミュニケーションがより円滑になるように充実させます。

学術賞

 日本経済会計学会の研究、教育及び実務の領域の拡大に伴い、9種の学術賞を設けます。日本経済会計学会学会賞(著書の部)、日本経済会計学会学会賞(論文の部)、日本経済会計学会教育賞、森脇賞、ディスクロージャー研究最優秀論文賞、Accounting Letters Best Paper Award、経営分析研究最優秀論文賞、若手奨励論文賞、学生会員最優秀報告賞です。日本経済会計学会学会賞は、国内外で刊行された書籍又は論文を通じて、会計学、経営学、経済学及びその関連領域に卓越した学術貢献をなしたことを顕彰するものです。日本経済会計学会教育賞と森脇賞は、それぞれ優れた教科書と実務的な書籍を通じて、社会的な貢献をなしたことを顕彰します。『現代ディスクロージャー研究』、Accounting Letters及び『経営分析研究』の最優秀論文賞は、最新の優れた学術的な成果を国内外に発信することを顕彰します。若手奨励論文賞及び学生会員最優秀報告賞は、次世代を担う若手研究者の研究活動をエンカレッジするものです。

 日本経営分析学会とディスクロージャー研究学会の創設時、「経営分析」はtechnologyの色彩の強さから既存の学問体系のなかでは正当に評価されていませんでしたし、disclosureも社会的には情報公開や情報開示の概念すら理解されていませんでした。そうした中で、先人たちは果敢に新領域を開拓してきました。そのおかげで日本経営分析学会と日本ディスクロージャー研究学会は大きな成果をうみだすことができました。もちろん、会員の皆様のそうした活動が可能となった背景には、理事、幹事及び監事の役員の先生方、並びに大会主催校の先生方をはじめとした一部の会員の自己犠牲のもとで、学会組織が維持されてきたことがあります。しかしながら、こうした旧来の学会運営はもはや限界にきています。業績評価基準は国内の学会誌や大会報告よりも国際ジャーナルや国際カンファレンスでの報告に重きをおきつつあります。競争の最前線にいる研究者や次世代を担う中堅若手の研究者にとって、国内学会を維持するインセンティブが希薄となるのはある意味で経済合理的です。であれば国内のacademic communityは不要なのか。私たちの出した結論は、問題を先送りして縮小の道を歩むよりも、最新の理論と技術を実務や教育の現場に社会実装するため、自ら変革しサバイブすることです。そのために必要な施策は、(1)学会規模を拡大することによって財政的な基盤を確固たるものすること、(2)一部の会員ではなく会員全体でjobsをシェアリングすることによって金銭的・非金銭的な固定費を削減し、組織の効率化をはかること、(3)学会が最新の理論や技術を学ぶ場となること、(4)次世代の研究者を育成すること、(5)未来への投資を行うことによって国際的な情報発信の学術的拠点を形成することです。

 disclosureとdata analyticsを融合した新たな地平に向けて、日本経済会計学会がたゆまぬ発展をするためにも、会員の皆様の一層のご支援、ご協力をお願い申し上げます。

2019年7月